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コンタクトレンズ着用による、眼障害のリスクを知る(2)。


コンタクトレンズ着用による、眼障害のリスクを知る(1)。でご説明したとおり、角膜は、空気に接することができる「上皮」と、その内側にある「内皮」から成っています。


「上皮」部分は神経があり、傷ついたときの再生能力を有しています。

一方で、「内皮」部分は神経がなく、またこの「内皮」部分の細胞(角膜内皮細胞)は死滅すると、再生することがありません。


以下、コンタクトレンズの装着により発生が懸念される角膜障害につき、「上皮」部分に関わる「角膜上皮障害」、「内皮」部分に関わる「角膜内皮障害」に分けて、説明します。


・角膜上皮障害

角膜上皮障害の症状に、「点状表層角膜症」があります。

これは、角膜の上皮の表層の細胞が点状に欠けた状態となることから、このように呼ばれている、軽症の眼障害です。

皮膚でたとえるなら、軽いかすり傷のようなもので、多くの場合、角膜上皮は再生能力があり、常に入れ替わっていますから、感染を起こさない限りは、比較的早く治り、視力に影響を及ぼすこともありません。

通常は、人工涙液の点眼等による治療を行います。

しかし、だからといって放置したままコンタクトレンズの使用を続けた場合は、傷の部分から細菌等が入りやすくなり、感染症の危険も出てきます。

また、長期間このような状態が続くと、酸素不足を補おうとして、角膜の周囲から中央に向けて血管が侵入してくる「角膜血管新生」を起こす場合もあるので、注意が必要です。


点状表層角膜症
は、レンズを一晩はずすだけで治る場合もありますが、時には角膜上皮びらん角膜潰瘍等へと進行し、重症となってしまう可能性もあります。

ハードコンタクトレンズの装用時には、エッジ部分が目にくい込んだ状態となって、角膜上皮障害を起こす場合があります。


角膜上皮びらん」とは、角膜の傷が上皮の一番下まで達している場合、さらに深い角膜の奥にまで達した場合は、「角膜潰瘍」と呼ばれます。

角膜潰瘍
は、細菌によるものが多く、不適切な取り扱い等によるレンズの汚染が考えられます。
ソフトコンタクトレンズ使用者の発症頻度が、特に高いと言われます。


これらの症状を呈した場合は、視力低下等の恐れもでてきますので、定期的な検診によるチェックが必要となります。

また、コンタクトレンズの使用によって目の違和感を少しでも感じた場合には早期に専門眼科医の診察を、受けるようにしましょう。


・角膜内皮障害

角膜内皮障害は、とりわけ近視の強い、ソフトコンタクトレンズを長期年数にわたり装用する者に、よく見られる症状です。

もっとも、ハードコンタクトレンズにおいても、角膜内皮障害となるリスクが少ないというわけではなく、いずれにしてもコンタクトレンズの装用時間・装用年数が長い方はとりわけ注意する必要のある、角膜傷害です。


角膜内皮障害
は、上述のとおり神経細胞のない内皮で起こることから、目の痛みや視力障害などの自覚症状を伴わずに進行していく点が、やっかいです。

日頃の予防策としては、角膜への酸素供給を促進するべく、コンタクトレンズの装着時間を厳守し、またメガネの併用によって、さらに一層短時間の装用を心がけることが大事です。


角膜内皮障害
がある限界ラインを越えると、角膜実質が水ぶくれのような状態になる「角膜浮腫」となり、角膜の透明性を維持できなくなることから、急激に視力が低下します。

角膜浮腫がある場合には、最悪の場合には視力低下失明の恐れもあることから、角膜移植の手術を受ける必要が生じます。


コンタクトレンズ着用による、眼障害のリスクを知る(1)。でもご説明のとおり、角膜内皮の減少は加齢とともに進むのですが、コンタクトレンズの長期装用によって、その減少が過度になっていた場合には、安全性の見地から、白内障の手術が受けられなくなる場合があります。

歳をとって、いざ白内障の手術をする段階で、医師からそのことを告げられて愕然とするケースも、現実にままあるようです。


このように、角膜障害は最悪の場合失明の原因ともなる恐ろしいものですので、コンタクトレンズ装用者は、目に特段の異常を感じなくても、定期的に専門眼科医の健診をきちんと受けるようにしましょう。


コンタクトレンズ着用による、眼障害のリスクを知る(3)。に続きます。

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